研修医と学生の皆様

先輩からのコメント

平成18年度に帝京大学整形外科に入局した研修医

帝京大学を卒業し、外科系に進みたいという漠然とした将来計画をたて初期研修がスタートしました。それまでに外科も回っていましたが、自由選択枠は整形外科に5ヶ月回りました。まず感じたことはスタッフの先生方の明るくやさしい態度でした。系統だった教育体制・症例豊富なカンファレンスを経験し、学生時代にあまり整形外科の勉強をしなかった僕ですが"なんだかとてもまともな集団であることは間違いない"と思い入局しました。仕事を始めると、多くの指導医の先生方が対応してくださり、多くの手術執刀の経験もさせてもらいました。この医局は経験すべき基本的な手術は早いうちに体験させるというシステムになっています(もちろん術前に勉強をしてくることは大事ですが・・・)。また、非常にイベントが多いことにはびっくりしました。年2回の医局旅行、冬のスキー旅行などなど医局員の先生方が一致団結し仲が良いのは、このせいかもしれません。

皆さん、整形外科のニーズは今後も間違いなく増加傾向にあり、自分の将来のことを考えて進む道をよく考えてください。僕はこの整形外科医局に入局してよかったと思っています。

帝京大学整形外科医局長

古くは大江戸の出入り口として繁栄した東京都板橋区に帝京大学はあります。池袋や新宿へのアクセスも良く、非常に利便性のいい土地に位置しています。東京都北西部の急性基幹病院です。当科の特徴は、全国の大学病院の中で整形外科病床数・症例数が最も多いことがあげられます。それは、研修を積まれる先生方にとっては何よりの財産であり、早いうちから臨床に接する機会を他病院とは比較にならないほど多く提供出来ることを約束します。

また、各種専門診の充実も特徴としてあげることができます。先生方が将来いずれかの道で自立されるときに、"この分野では第一級の知識と技術を身につけている"と自信を持って言える専門領域があるかないかは、その後の整形外科医としての人生に大きな違いを生むことでしょう。帝京大学整形外科では、いろいろな分野のスペシャリスト教育を提供できます。

帝京大学整形外科外来医長 「整形外科を目指す若き医師達へ」

なぜ帝京大学整形外科教室での研修が良いのか?

前提:昨今の医療事情を鑑みると、今後医師はその能力を評価され、自らそのスキルアップを目指さなければ駆逐されていきます。よき整形外科医になるためにはどういったスキルアップのプロセスが必要かを記述します。

昨今の,臨床研修制度の基では,大学病院の研修は以下の理由(誤解や偏見?)により臨床医としてのスキルアップにおいては不向きではないかと言われ不人気となっています;

  1. ベッド数が少なく,偏った疾患の研修しか出来ない
  2. 基礎研究に目が向いており臨床技術の習得には不向きである
  3. 医局は徒弟制度で閉鎖的であり,主任教授の意向で駒のように転勤・移動させられる
  4. 大勢の偉い先生がカンファでいじめる

医学生時代は,座学で一方的に講義を聞いて,臨床実習では教授回診に訳も分からず参加していただけでは,そのような誤解が生じることもやむを得ないと思います。私自身も,大学卒業年度は昭和最後の年でしたが、この様な漠然とした堅苦しさを大学医局に感じていました。卒業後すぐに当教室に入局し,初期研修、派遣病院、大学院、大学病院勤務を経て、現在教室スタッフとして臨床・教育・研究に関わった私の経験から、少なくとも当教室においては、医局弊害説は大きな誤解であると否定したいと思います。

  1. 偏った疾患のみの研修?

    臨床を重視した当教室では、基本的にはあらゆる整形疾患を扱うことを目標としてます。このために教育スタッフは、さまざまな専門指導医(subspeciality:専門診の紹介をご覧ください)を揃えて隙間のない高度な専門医療を心がけております。そのためには教室定員やベッド数・手術件数の確保、救急患者受け入れ態勢(外傷センターの設立)などの基盤が必要です。これらの基盤が整った上で、多くの疾患を専門家の指導の下に経験していくことが臨床研修として必須だと考えます。私は怠け者なので、教科書を端から端まで網羅するような勉強はできませんでした。患者さんの顔が見えず臨床経験のない疾患を文字情報から学ぶことが得意ではありませんでした。知識の幅を増やすことは、教科書などを読む座学からは難しいと考えます。しかし自分で症例を経験するごとに、一つずつ疾患概念を勉強し知識を蓄えてくると、点であった知識が線となって自然につながってくると感じました。On job trainingを身のあるものにするためには、豊富で多彩な臨床経験が最も大切であり、まさに患者さんから学ぶものであると断言します。多くの臨床症例を経験できることはスキルアップのための第一歩です。さらに、整形外科の中で興味のある分野には、さらなる専門家を目指すことをお勧めします。山を高くするためには、裾野を広げていかなければなりません。高い山の頂点を目指すことは、専門馬鹿になることではありません。更なるスキルアップのためにも多くの専門指導医に薫陶を受けることが重要です。

  2. 基礎研究重視?

    基礎研究は医学の進歩のためには必要です。また、研究者の目をもって臨床を紐解いていくことが、必ず良い治療に結びつくものです。当科では特に、臨床に結びついた研究を重視しています。無理やり訳のわからないまま学位取得のためだけの基礎研究をさせるようなことはありません。大学院生たちの研究発表では必ず、その研究がいかに臨床に結びつくものかを必ず論議します。また、臨床研究において臨床症例から新知見を得るためには、確固とした診療理念に基づいた上で多数の症例を科学的に解析しなければなりません。漫然とした臨床活動をしていては、貴重な臨床症例から何の知見も得られません。多数の症例を十分に検討することなく「無難にこなしていくこと」は臨床能力のスキルアップにもつながりません。臨床研究は患者さんをしっかりと科学的に診ることが原点であり、臨床技術の習得・発展にも必須のものと考えます。

  3. 大学医局は封建的?

    いまどき、そんな医局はどれほどあるのでしょうか?確かに地域によっては医師派遣の要請に、地域基幹病院の義務として応じざるを得ない医局もあり、派遣先によっては医局員にしわ寄せが来ていることもあります。しかし、派遣病院での研修もスキルアップのためには必要です。当医局の派遣病院の選定の基本方針として:1.派遣された医師が適切に指導され臨床技能のスキルアップにつながることが必須(日本整形外科学会認定施設でない施設、閑古鳥の鳴くような症例数のない病院、指導無しのほったらかしの野戦病院などには派遣いたしません)2.派遣先の病院側からも正当な評価・報酬を得られること。これらの2点を重視してます。多くの派遣病院は最低でも3人以上の診療体制です。派遣先の指導医は、病院側からも医局からも指導医としてしかるべき評価を得ている整形外科専門医師です。当教室では派遣医師への処遇が悪い病院や労働環境が整っていない病院へは派遣しておりません。医師不足で多くの病院から派遣依頼がありますが、劣悪な労働環境では適切な医療が遂行できず、臨床研修もままなりません。適切な派遣先の選定は、教室が良医を育てるために努力すべき当たり前のことと考えます。また、人事は基本的に年度毎として、突然の異動などは通常はありません。

  4. 大勢の偉い先生がカンファでいじめる?

    診療内容をお互いにしっかり検証していくためにもカンファレンスはとても重要です。しっかりとした症例検討がなされていない部署でこそ、思い込みによる誤った診療、偏った治療による医療事故の頻発をきたします。また、自分の行っている医療内容を、指導医にしっかりと報告・連絡・相談した上で、カンファレンスの場で多くの医師と検証・討論することは医師のみならず患者さんにとっても重要な診療過程と考えます。難しい症例ほど、十分な討論を経なければ最善の医療が導き出されません。さらに、専門指導医は機会あるごとに専門知識の啓蒙・普及に努めることにより、個人のみならず医局全体のレベルアップにつながってます。無意味ないじめ、指導医の独断による偏った医療、不毛な議論が許されるようなカンファレンスは時間の無駄です。充実したカンファレンスは、しっかりとした医療のための基本です。当教室に興味のある方は是非我々のカンファレンスに御参加ください。

よき整形外科医になるためのスキルアッププロセスとしては、

  1. 豊富な臨床経験ができる環境での積極的な臨床研修
  2. 適切な上級医・専門指導医の指導
  3. 適切な医療環境
  4. 臨床研究を含めさらなる専門家(subspeciality)を目指す

などが大切です。個人のモチベーションや資質、努力も重要ですが、やはり良い臨床研修環境がスキルアッププロセスにはもっとも大切かと考えます。当教室は、単なる医師派遣会社でも研究機関でもありません。良い臨床研修環境を整え、良き整形外科医を育成し、整形外科医療の研鑽を重ね、整形外科医療の向上に寄与していくことが当教室の理念と考えています。自分の将来設計や自己実現像がまだ具体的になっていない若き医師たちは、当教室で、より多くの症例と専門指導医に接することにより有意義な整形外科臨床研修が可能になると確信しています。